日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-160
会議情報

一般演題 ポスター
バガスを基材とした磁性保持吸着剤の創製およびそのセシウムイオン吸着能に関する基礎検討
*緒方 文彦坂本 翔植松 勇伍川﨑 直人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】セシウム(Cs)などの放射性物質による水環境汚染は,早急に解決すべき課題として注目されている。さらに,循環型社会の構築を目指した廃棄物の有効的な利活用技術の開発は,SDGsの達成に必要不可欠である。本研究では,廃棄物バイオマスの一つであるサトウキビの搾り粕(バガス)を基材した磁性保持吸着剤の創製およびそのセシウムイオンの吸着能に関する基礎的検討を実施した。

【方法】基材にはバガス(Sugar cane, SC)を使用し,以下の手順により,磁性保持吸着剤の創製を試みた。SC:硝酸鉄(Ⅲ) 9水和物を1:1.5の重量比で混合し,200, 400および600℃で加熱処理を施した。(以降,それぞれをSC200F,SC400FおよびCB600Fと表記する)吸着質にはセシウムイオン標準液(CsCl in water)を使用した。諸物性として,電子顕微鏡写真の撮影,比表面積およびゼロ電荷点(pHpzc)などを測定した。セシウムイオンの吸着量は,誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いて,バッチ法により評価した。

【結果・考察】比表面積の値は,加熱処理により増大した。さらに,pHpzcの値も同様の傾向を示した(SC (4.5) < SC200F (4.9) < SC400F (6.1) < SC600F (7.5))。セシウムイオンの吸着量は,SC, SC200F, SC400およびSC600Fでそれぞれ0 mg/g, 2.0 mg/g, 9.7 mg/gおよび6.0 mg/gとなり,SC400Fが最も優れていることが分かった。さらに,吸着処理後の固液分離能の評価を実施した結果,SC400Fで優れた固液分離能を有することが示唆された。以上の結果より,バガスを基材としたSC400Fの創製に成功し,水環境中のセシウムイオンに対して優れた吸着能および固液分離能を有することが明らかとなった。本発表では,セシウムイオン吸着時に影響を及ぼす因子についても併せて発表予定である。

著者関連情報
© 2024 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top