日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-180
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一般演題 ポスター
マウス蝸牛由来不死化細胞株 HEI-OC1 細胞を用いたイマチニブ毒性機序の検討
*小黒 裕嗣古屋 優里子岩井 祥人安田 秋太浅野 雄哉濵中 さえこ長瀬 孝彦山本 恵司
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抄録

<背景・目的>抗がん剤であるイマチニブはシスプラチンと同様に薬剤性難聴を惹起するが、その機序は明らかでない。我々は、オートファジー・リソソーム経路およびギャップ結合が内耳機能に重要な役割を果たしていることに着目し、これらの評価項目をマウス蝸牛由来細胞株 HEI-OC1 細胞を用いた in vitro 系で測定する方法を確立した。本研究では、本方法を用いてイマチニブが聴覚毒性を惹起する機序を検討した。<方法>33℃/10% CO2 条件で培養している HEI-OC1 細胞に 2.4–60 µmol/Lのイマチニブを 48 時間曝露し、① 細胞死およびカスパーゼ-3/7 活性に及ぼす影響を CellTox™ Green Cytotoxicity Assay および Caspase-Glo® 3/7 Assay Systemで、② LC3B-II 蓄積量およびリソソーム活性に及ぼす影響をウエスタンブロットおよび DQ™ Green BSA Assay で、③ Gjb2 発現量およびギャップ結合機能に及ぼす影響を qPCR およびフローサイトメトリーで、それぞれ検討した。<結果>イマチニブは、HEI-OC1 細胞において ① 60 µmol/L で細胞死およびカスパーゼ-3/7 活性の増加を示した。② 12 μmol/L 以上の薬剤濃度で LC3B-II 蓄積量の増加およびリソソーム活性の低下を示した。③ 12 μmol/L 以上の薬剤濃度で Gjb2 発現量の低下およびギャップ結合機能の障害を示した。<考察>本研究によりイマチニブは蝸牛においてリソソーム障害に起因するオートファジー・リソソーム経路の障害や内耳機能に重要な役割を果たしているギャップ結合機能の低下を惹起し、聴覚毒性を引き起こしている可能性が示唆された。

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