日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-179
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一般演題 ポスター
クマ笹含有漢方サプリメント(爽牙)の犬における安全性と有効性の検討
*篠原 祐太リュウ イシャン山本 晴臼井 達哉佐々木 一昭
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抄録

 クマ笹は、日本で古くから民間薬として口臭がある場合などに用いられてきた。現在でも口臭や口腔疾患等を防ぐためにクマ笹含有サプリメント等が人用に販売されている。近年の研究では、クマ笹の抗炎症作用、殺菌・制菌作用等も報告されている。口臭や口腔疾患は、獣医療分野においても大きな問題となっている。そこで我々は、クマ笹を主とする漢方サプリメント(爽牙)に注目した。しかし、クマ笹の犬における安全性や効果について検討した研究は殆どない。本研究では、爽牙長期投与による犬での安全性と口腔内環境への影響について検討した。通常用量(4 粒/頭)あるいは高用量(20 粒/頭)の爽牙を、餌とともにビーグル犬に56日間投与し、一般状態(元気さ、食欲、嘔吐下痢の有無、体重)の確認と血液検査(血球計算および生化学)を行い、安全性を評価した。口腔内環境への影響は、通常用量の爽牙を56日間投与し、対象歯に関する目視検査(歯垢・歯石・歯肉炎スコア)、臭気測定(オーラストリップ、口臭官能試験)、細菌叢測定(次世代シークエンス)にて評価した。安全性の評価では、通常用量および高用量の爽牙の投与ともに、臨床的に意義のある変化は認められなかった。通常用量の爽牙投与により、歯垢・歯石スコアでは大きな変化は認められなかったが、歯肉炎スコアでは対象歯の一部で減少傾向や有意な減少が認められた。臭気測定では、チオール化合物を検出するオーラストリップで減少傾向、口臭官能試験で有意な減少が認められた。細菌叢測定では、口臭に関与すると考えられる菌で減少傾向が認められた。以上のことから、爽牙は獣医療分野において、安全で口臭を中心とした口腔内環境改善を期待するサプリメントとして使用できる可能性が考えられた。

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