日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-27S
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一般演題 ポスター
L-テアニン由来新規リジンアシル化修飾タンパク質の網羅的探索
*河原 幸平則次 恒太青木 康明鈴木 健裕小池 晃太闐闐 孝介袖岡 幹子熊谷 嘉人堂前 直伊藤 昭博
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抄録

近年、ヒトの細胞内には3,000種類以上のアセチル化タンパク質が存在することが示唆されており、細胞内の多様な生命現象を調節していると考えられている。最近、リジン残基はアセチル化に加えて様々なアシル化修飾を受けることが明らかになっている。リジンアシル化修飾は、脂肪酸などの内在性カルボン酸に由来するアシルCoA依存的に引き起こされるが、リジン残基を修飾するカルボン酸は生体内に存在する内因性カルボン酸のみだろうか?我々は日々、食品と共に様々な化合物に暴露されており、その中には、カルボン酸も含まれる。そこで、食品成分として摂取しているカルボン酸のうち、化学反応を介して生体内タンパク質のリジン残基に修飾するものがあるのではないかと仮説を立てた。様々な食品成分由来のカルボン酸について検討したところ、緑茶に特有のアミノ酸として知られるL-テアニンが細胞内でタンパク質に修飾される可能性を見出した。本研究は末端アルキンとアジドの選択的反応であるクリックケミストリーとLC-MS/MSを用い、L-テアニンによる新規リジンアシル化修飾タンパク質の探索を目的とした。細胞にアルキン標識したL-テアニンを処理し、タンパク質にアシル化修飾として取り込まれたL-テアニンアルキンを、蛍光アジドによるクリックケミストリーにより検出した。その結果、多くのタンパク質がL-テアニンにより修飾を受けていることを示唆する結果を得た。さらに、チェイス実験により、L-テアニン修飾は可逆的であることを見出した。現在、ビオチンアジドを用いたクリックケミストリーの手法によりL-テアニンが修飾するタンパク質の網羅的な探索を試みており、本発表で紹介したい。

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