日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-313
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一般演題 ポスター
大腿骨頸部骨梁のex vivoマイクロCT解析及び有限要素解析による小児大腿骨骨幹部骨折発生リスクの検討
*磯部 雄司Chang-Ning LIUJohn L JAKUBCZAK
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抄録

【緒言】小児の大腿骨骨幹部骨折は小児骨折全体の1~2%未満を占め,通常,受傷機転は高エネルギー外傷による。Delbet分類は,これらの骨折を分類する方法であり,解剖学的な骨折部位に基づき,最も頻度の低いI型(transphyseal fracture),最も頻度の高いII型(transcervical fracture),次に頻度の高いIII型(cervicotrochanteric fracture)および次に頻度の低いIV型(intertrochanteric fracture)の4種類の分類が用いられている。一方,これらの骨折の各型の発生率に対し,骨組織レベルで関与する因子の存在は明らかではない。

【目的及び方法】本研究の目的は,Delbet分類により4種類の骨折の型に分類された大腿骨頸部骨折における骨梁の力学的挙動及び微細構造について,ex vivoマイクロCT画像解析及び微小有限要素解析を用いて評価することである。

【結果】大腿骨部組織におけるマイクロCTパラメータ(骨組織体積[TV],骨体積[BV],骨梁体積率[BV/TV],骨梁数[TbN],骨梁幅[TbTh],骨梁間隔[TbSp],形状指標[SMI],骨密度[BMD],骨梁の構造異方性[DA])及びシミュレーションによる骨の力学的性質(硬度・弾性率)は,骨折の発生率の順位,すなわちII型-III型~IV型-I型の発生率の順には従っていないことが確認された。

【結論】小児における大腿骨頸部骨折の各型における発生率および発生リスクは,今回示した骨梁の力学的挙動及び微細構造によって全て説明されるものではなく,大腿骨頸部の骨梁または皮質骨の他の要因についてはさらなる検討が要される。

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