日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-68S
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一般演題 ポスター
ギャップマー型アンチセンスによるマウスでの血液中アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇を予測するためのin silicoモデルの開発
*鈴木 孝太郎安部 賀央里有吉 純平神谷 由紀子頭金 正博
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抄録

【背景・目的】ギャップマー型アンチセンス核酸(以下、Gapmer)は、両端数塩基は人工核酸による化学修飾が施された核酸である。Gapmerの一部では肝毒性が懸念されており、塩基配列や化学修飾との関連性が報告されているが、in silicoで毒性を予測する手法は確立されていない。そこで本研究では、多くの動物試験で肝毒性の指標として測定されている血液中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇に着目し、Gapmerに関する既存の毒性試験情報を活用し、塩基配列や化学修飾情報からALT上昇の有無を判別する機械学習モデルの開発を目的とした。【方法】2022年以前のマウスを用いたGapmerの単回投与毒性試験に関する公表論文から、Gapmerの配列、化学修飾、ALT値、投与量などのデータを収集した。目的変数はALT上昇の有無とし、陽性物質は生理食塩水投与群または非毒性物質投与群のALT値の10倍以上の上昇を示す物質とし、陰性物質は10倍未満と定義した。説明変数として塩基配列は、Gapmerに占める2塩基と3塩基の各部分配列の出現頻度とした。化学修飾情報は糖部修飾の構造とし、分子記述子計算ソフトalvaDescから分子記述子を算出した。作成したデータセットからランダムフォレストにて分類モデルを構築した。【結果・考察】マウスを用いたGapmerの単回投与毒性試験は16件収集され、138物質の情報が得られた。そのうち陽性物質は86、陰性物質は52であった。分類モデルの性能評価は、ROC-AUC:0.84、感度:0.88、特異度:0.55であった。本研究では、Gapmerの単回投与毒性試験にてALT上昇の情報を収集し、物質の情報のみからALT上昇の有無を高性能で判別するモデルを構築できた。本モデルの活用で、ALT上昇のリスクを回避したGapmerの効率的な設計を支援できることが期待される。

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