日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-69E
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一般演題 ポスター
ADRA等を用いたニューラルネットワークによる感作性リスク評価モデルの構築
*今井 浩介畠山 由梨太枝 志帆大竹 利幸跡部 朋美廣田 衞彦
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抄録

【背景・目的】我々はこれまでに、非動物実験による皮膚感作性リスク評価を目的とした、複数の動物実験代替法を組み合わせたLLNA EC3値を予測するためのArtificial Neural Network(ANN)モデルを報告してきた。本研究では、被験物質と皮膚タンパク質の共有結合性を評価するための手法として知られているDirect Peptide Reactivity Assay(DPRA)に対して、より低濃度で実施可能かつ共溶出が少ないことで知られているAmino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)を用いてANNモデルを構築し、有用性を検討した。

【方法】LLNA EC3値を目的変数とし、説明変数としてADRA、KeratinoSens™、h-CLATから得られる特性値およびToxtreeによる毒性アラート情報を用いた。ADRAについてはモル濃度および重量濃度で実施したデータ用いて、Pythonおよび機械学習ライブラリscikit-learnにより、2種のANNモデルを構築した。交差検証によりモデルの汎化性能を評価したのち、我々がこれまでに報告したDPRAの特性値を用いたANNモデル1)と予測精度を比較した。

【結果・考察】今回構築した2種のモデルにおいて、既報のDPRAを用いたモデルとR²および交差検証におけるRMSEを比較したところ、いずれも同程度の結果が得られた。また、外部データに対してはLLNA Categoryが過小評価となる物質はなかった。更に、今回構築した2種のモデル間の予測値はR²=0.865であり、異なる説明変数を用いたモデルにおいても相関性が高い予測性が示された。今回の結果は、ADRAを用いたANNモデルの有用性が示唆されたため、DPRAとは異なる特長を有するADRAを活用した感作性評価として有益な知見になると考えられる。

【参考文献】1) Hirota et al., J Appl Toxicol. 2018, 38, 514-526

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