抄録
保育並遊戯唱歌 (俗称保育唱歌) は、目本で作られた教育用唱歌集の先駆をなすものとして、又、国歌「君が代」を生み出したものとして有名だが、「君が代」以外の曲や内容についてはその名ほどは知られていない。そして、その評価も研究者により非常に多様である。日本で最初に作られた唱歌集がどのようなものだったか。その作曲を式部寮に依頼し、実際に教材として用いた東京女子師範学校附属幼稚園は、開園時からフレーベルの教育理論を販り入れていたが、唱歌もそれに適うものだったか。フレーベルの理念を音楽にも販り入れることができたとしたらどのような形でだっただろうか。又、旋律にも西洋音階が取り入れられただろうか。などの点を考察してゆきたい。