2020 年 22 巻 p. 020-027
本稿の目的は,日本の地方都市における路面電車・LRT事業者を対象にして,範囲の経済性と規模の経済性を計測することである.2005~2014年度のパネルデータを用いて計測した結果,①路面電車・LRT事業と鉄道事業との兼業による範囲の経済性が存在する,②鉄軌道業全体,路面電車・LRT事業および,鉄道事業において,それぞれ規模の経済性が存在する,③範囲の経済性による費用節約効果は,鉄軌道業全体における規模の経済性および,路面電車・LRT事業と鉄道事業の各個別事業における規模の経済性による費用節約効果よりも大きい,が明らかになった.