2000 年 3 巻 2 号 p. 036-041
乗合バスの需給調整規制の廃止に伴なって,市民の足を確保するために必要となる行政上の配慮についての種々の議論がなされ,運政審の答申も行われた.しかし,それらの結論は未だ現場の都市における公共輸送行政の具体的な姿を提示するには至っていない.
今回の改革は単に運輸行政における規制緩和にとどまらず地方自治体の交通政策に大きな変革を迫るものである.地方自治体は公共輸送サービス計画を策定し,民間のバス会社への運行委託等を通じて公共輸送サービスを確保せねばならなくなるであろう.本論は来年にせまった規制緩和に向けて,都市の公共輸送政策の抜本的改革のあり方を議論すべく,討論のたたき台を提供しようとするものである.