2001 年 3 巻 4 号 p. 002-008
製造業の生産ネットワークの国際化により,流通やサプライチェーンマネジメントの形態がより複雑になっている.原料供給地,工場と市場は大きく離れ,また製品のライフサイクルも加速している.こうした事情のなか,製造業者はロジスティクスサービスを自ら行わず,アウトソーシングするようになった.多国籍企業が効率的にサプライチェーンマネジメントを行うためには,次の2つの再編が必要である.一つは製品や商品の流通の見直しであり,もう一つは流通過程における各主体者間(供給者,工場,顧客,輸送産業)の役割を再定義することである.これより,交通産業はロジスティクスサービスの統合化,新規サービスの採用,最終的なサービスの質に対する責任を負うこと等に取り組むであろう.ただし,交通産業にとってはインフラ整備の費用負担が増大する可能性もあると言える.