2001 年 4 巻 3 号 p. 020-032
EU(欧州連合)による欧州統合は新たな発展段階を迎え,統合の質的深化と中東欧への拡大という両面でダイナミックな進展を見せている.交通インフラストラクチャーの整備は統合前進のための戦略的ファクターと位置付けられ,EUは各種枠組みを通じて域内及び加盟候補国における各種事業を支援している.その支援の実態と特質を明らかにするため,域内後進地域を対象とするCohesion Fund(格差是正基金)の支援を受けたギリシャのアテネ新空港建設と地下鉄増設,加盟候補国を対象とするPHARE(中東欧支援基金)の適用を受けたハンガリーの高速道路整備の3事業をケース・スタディに選び,現地調査を行った.