2005 年 8 巻 3 号 p. 004-015
本研究は,東京圏の都市鉄道のピーク需要分散策を念頭においた実務的価値の高い時刻別需要予測モデルの構築を目指した.この時刻別需要予測モデルは,混雑費用を効用関数に組み込んだ出発時刻選択モデルと企業の就業制度によって異なる出発時刻選択肢集合の選別モデル,BPR関数を応用した都市鉄道のリンクコスト関数から構成され,この3種のモデルを統合した確率均衡配分モデルによって30分単位の時刻別需要を予測するものである.これにより,フレックスタイム制度の推進,時間帯別料金制度の導入によるピーク需要分散効果が分析できることを示す.また,混雑緩和のための運行本数の増加が実際は利用者の効用低下を引き起こす可能性があることを指摘する.