抄録
我が国において,空港を嚆矢として運輸交通インフラのコンセッションが進められ,現在,博多港を先進事例として港湾分野でも検討が進められている.港湾のコンセッションにおいては,インフラ投資を目指す民間資金や運営の能力を導入するに際して,岸壁の所有・運営を公共が継続することが大きな特色として挙げられる.そのため,公共と民間の連携関係および責任範囲の予測可能性を高めると共に,民間の創意工夫を引き出すインセンティブの設計や,利用者間の公平な取扱いや利用料金等を巡り,港湾管理者及び利用者の有する公益と運営権者および投資家の期待とのアライメントが重要である.