抄録
本研究は,方向転換走と直線走および垂直跳びの関係について,相関分析および重回帰分析を用いて検討することを目的とした.対象者は,2005年から2010年の期間に所属していた大学男子サッカー選手175名とした.研究期間のうち,方向転換走は2年ごとに異なるテストを実施した.また,直線走および垂直跳びは全ての期間中,共通の測定項目として実施した.測定項目の記録について相関分析を行ったところ,各方向転換走は全ての測定項目との間に有意な相関関係を認めた.また,ステップワイズ法を用いた重回帰分析を行った結果,各方向転換走に関係する要素として,それぞれ異なる項目の標準偏回帰係数に有意性が認められた.以上のことから,方向転換走には直線走および垂直跳びが関係する一方で,方向転換走の種類によりパフォーマンスに影響する個別の要素が存在すると示唆された.