トレーニング科学
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原著
  • 小原 亜希子, 藤井 久雄, 内丸 仁, 竹村 英和, 鈴木 省三
    2011 年23 巻2 号 p. 135-142
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/12
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,約100kcal の市販サプリメントを用い,糖質配合プロテイン(CHO-PRO)サプリメントと糖質をほとんど含まないプロテイン(PRO)サプリメントの単回摂取による疲労回復効果を比較することであった.
    方法:試験には7 名の男性が被験者として参加した.被験者は筋グリコーゲンを枯渇させるために自転車運動を行い,運動直後にCHO-PRO またはPRO 摂取を行った.
    結果:疲労感の指標visual analogue scale(VAS),尿中3-メチルヒスチジン/クレアチニン(3-MH/Cr)比はPRO 摂取群に比べCHO-PRO 摂取群で有意に低値を示した.パフォーマンスタイムは有意差が見られなかったが,CHO-PROを摂取した7 名中6 名で延長した.
    結論:運動直後の低エネルギーのCHO-PRO 摂取は同程度のエネルギーのPRO 摂取よりも疲労回復効果が高いことが推察された.
  • -重回帰分析を用いた検討-
    笹木 正悟, 金子 聡, 矢野 玲, 浅野 翔太, 永野 康治, 櫻井 敬晋, 福林 徹
    2011 年23 巻2 号 p. 143-151
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,方向転換走と直線走および垂直跳びの関係について,相関分析および重回帰分析を用いて検討することを目的とした.対象者は,2005年から2010年の期間に所属していた大学男子サッカー選手175名とした.研究期間のうち,方向転換走は2年ごとに異なるテストを実施した.また,直線走および垂直跳びは全ての期間中,共通の測定項目として実施した.測定項目の記録について相関分析を行ったところ,各方向転換走は全ての測定項目との間に有意な相関関係を認めた.また,ステップワイズ法を用いた重回帰分析を行った結果,各方向転換走に関係する要素として,それぞれ異なる項目の標準偏回帰係数に有意性が認められた.以上のことから,方向転換走には直線走および垂直跳びが関係する一方で,方向転換走の種類によりパフォーマンスに影響する個別の要素が存在すると示唆された.
実践研究
  • 星川 佳広, 村松 正隆, 飯田 朝美, 井伊 希美, 中嶋 由晴
    2011 年23 巻2 号 p. 153-165
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/12
    ジャーナル フリー
    本研究は男女のジュニア短距離選手において,股関節筋群の筋力と筋横断面積を調べることを目的とした.被検者は男女計45名の高校生短距離選手であった.また同年齢の長距離選手(11名)と非トレーニング群(18名)が比較のために参加した.股関節伸展・屈曲筋力(角速度3.14 , 5.23rad/s)は等速性ダイナモメータで計測し,大腰筋と大殿筋の横断面積をMRI法で求めた.短距離選手の股関節筋力は,非トレーニング群,長距離選手と比較して伸展側でより強かった.筋横断面積(体格補正値)は,女子では短距離と長距離選手で差異がなかったのに対して,男子では大腰筋,大殿筋ともに短距離選手が長距離選手よりも大きな値を示した.股関節筋力は屈曲,伸展ともに競技レベルと無関係であったが,競技レベルの高い短距離選手は,女子では大腰筋の,男子では大殿筋の横断面積が大きかった.これらの結果は,男女ともに短距離選手はジュニアにあっても股関節伸展力の高さを特徴とすること,股関節筋群の形態発育では男女で傾向が異なることが示唆された.
  • 一箭 フェルナンド ヒロシ, 中村 夏実, 山本 正嘉
    2011 年23 巻2 号 p. 167-176
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,通常酸素条件(酸素濃度20.9 %),低酸素条件(同16.4 %)および高酸素条件(同30.0 %)において,カヤックパドリング運動を行った際のパフォーマンスおよび生理応答に与える影響について検討することを目的とした.8 名のスプリントカヤック選手を対象に,カヤックエルゴメータを用いて多段階運動負荷試験を実施した.その結果,通常酸素条件と比較して低酸素条件では,最大運動時の運動強度(- 6 %)および酸素摂取量(- 5 %)が有意(P < 0.05)に低い値を示した.また,最大下運動時の同一運動強度における換気量および血中乳酸濃度は一部で高い値を示した.一方,通常酸素条件と比較して高酸素条件では,最大運動時の運動強度(+8 %)および酸素摂取量(+9 %)が有意(P < 0.05)に高い値を示した.また,最大下運動時の同一運動強度における血中乳酸濃度は一部で有意に低い値を示した.これらのことは,低酸素および高酸素条件でパドリング運動を行うと,通常酸素条件ではかけることのできない,生理的あるいは物理的な負荷をかけられることを意味している.したがって,通常酸素環境に加えて,低酸素および高酸素環境でトレーニングを行うことは,通常酸素環境のみでトレーニングを行う場合と比べて,より多様なトレーニング負荷を設定できる可能性があると考えられる.
症例・事例報告
  • 太田 洋一, 高嶋 渉, 池田 祐介, 貴嶋 孝太, 村田 正洋
    2011 年23 巻2 号 p. 177-195
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,自転車競技におけるレース分析から,速度変化,クランク回転数変化およびギア比と記録との関係を明らかし,トレーニングおよびコーチングへの示唆を得ることである.分析対象者は第10 回チャレジ・ザ・オリンピックの200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT, 4kmTT に参加した選手計177 名である.レース中の自転車及び選手の全景をパンニング撮影し,走行速度,クランク回転数およびギア比を撮影動画から算出した.200mFTT,250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,レース中の最高速度およびスタート区間速度が記録に強く影響する要因であった.一方,4kmTT ではレース中の速度低下量の小さい選手ほど記録が良いことが示された.また,200mFTT,500mTT, 1kmTT においては,ギア比と記録との間に有意な負の相関関係が認められた.以上のことから,200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,スタート区間速度および最高速度を高めるトレーニングが重要であり,4kmTT では高い速度を維持できる能力を高めることが重要であると示唆された.
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