繊維機械學會誌
Online ISSN : 1883-8715
ISSN-L : 0285-905X
ステープル ダイヤグラムとローラ牽伸について
(第2報) 牽伸むらとその週期
池田 章木下 陸肥路岡野 伊重
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1955 年 8 巻 8 号 p. 525-532

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抄録

研究目的
異常牽伸によって生じる牽伸むらとその発生機構を考察し, 篠のステープルダイヤグラムとむら発生との関係, 更にむら曲線とむらの週期を考察して, ステープルダイヤグラムのどの長きをもってゲージを決定すべきかを研究せんとした.
研究目的
篠がローラ牽伸される時篠の構成繊維は次の長さの繊維で代表される.
Lr=∫a0f2 (x) dx/∫a0f (x) dx
ここにLrは代表繊維長, f (x) はステープルダイヤグラムの曲線式で0≦x≦aである.浮遊繊維がその状態のまま高速化されて異常牽伸むらを生じた時, そのむらの週期は次によって示される.
λ=(k-Lr)D+Lr
ここにλは週期, kは高速化の及ぶ範囲 (距離), Dはドラフト率である.牽伸野の繊維本数曲線から異常牽伸むらを繊維本数曲線として把握した.その結果むら曲線はフロントローラ把持曲線と浮遊曲線で示された.紡糸実験の結果, スライバを原料とする粗糸については週期は上式にて, k=gを満足するが, 粗糸を原料とする精紡糸にては撚り等の影響でk=gとした時は満足されないことを知った.むら計量の結果, 構成繊維数が多いスライバではローラニップ線は面をなして牽伸野に影響するため有効ゲージは狹くなり, 構成繊維数が少くなるとこの影響は減じてくる.牽伸むらを最も少く保つためには, 有効ゲージを代表繊維長に等しく取るべきである.

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© 社団法人日本繊維機械学会
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