1956 年 9 巻 6 号 p. 378-385
研究目的屈曲疲労寿命の全ばらつきのうち, 強力むらから転化したもの以外の真の疲労寿命のばらっきの原因を究明し, 疲労寿命の全ばらつきを減少せしめる方法, 及びばらっきの最小限界を推定する.研究結果 (1) 真の疲労寿命のぱらつき (第2種のばらっき) は大部分コードの撚り, 構成繊維張力のむら等, 及びコードの屈曲形態上からおこる必然的な繊維張力の不安定によるものと考えられる.その他確率的な避け得られない原因によるばらっきも存在するが定量的な関係は未だ不明である.硬質微粒子の僅かな付着もコードの種類によってはある程度第2種のばらつきの原因となることがある. (2) 疲労寿命のばらつきを減少せしめるには屈曲強力のむら, 及び疲労寿命の第2種のばらっきを滅少せしめなければならない.第2種のばらっきを減少せしめるには主として繊維張力の不同, 及び撚りむらをなくすこと, 適当な油剤の使用あるいは機械的な工夫によって加撚を円滑に行い繊維の形態的な均斉, 安定をはかること, 取扱に注意し硬質微粒子の村着, 繊維の損傷をさけること等である. (3) 疲労寿命のばらっきの真の意昧の最小限界は求め得ないが, 一応目安の最小分布範囲を対数疲労寿命で示すと小さいものは0.3~0.4, 大きいものは0.7~0.8程度と考えてよい.しかし耐久限度付近では著しく大きくなる.