1966 年 19 巻 12 号 p. T309-T315
目的 本報では, たて糸張力の実測値を第1報で得た関係式に適用して, 耳線形状の凹凸率を数値的に表現することを試みる. ついで, たて糸張力のサイクル間変動要因として, たて糸送り出し量の変動をとりあげ解析する. さらに, サイクル内挙動を実験的に考察し, クランクサークルとの関連性を追求する. 成果 (1) 基準線に対する耳形成点の左右のずれを, 実測張力から試算した.たて糸張力に約17%の変動率がある場合, 耳線形状の変動率は39%になる. (2) サイクル間たて糸送り出し量を実測した.この結果から変動率は, この織機では11%で, 12サイクルを単位とする周期性のあることが認められた.この原因が送り出し装置にあり, 変動率が2%以下になる方法を実験的に検討した. (3) つぎにサイクル内張力変動と織機の運動によるたて糸ひずみ量との相関を確認し, またたて糸の長手方向の張力分布も検討した.この結果, 耳形状に直接影響するたて糸張力は, 上口開口の糸で最高約12g, 下口開口の場合は最高36gを示し, 両者間に大きい差のあることがわかった. (4) 以上のことから, 耳形状の直線性に関与するたて糸張力について, 若干の具体的知見を明らかにできた.