繊維機械学会誌
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仮撚加工法に関する研究
(第1報) 走行するポリエチレンテレフタレート (PET) 糸の昇温挙動
穴原 明司北洞 俊明藤田 隆嘉国分 外喜雄
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1980 年 33 巻 6 号 p. T53-T67

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抄録

目的 仮撚加工時の糸の昇温挙動を把握するため, 通常の走行熱処理状態にある糸について, その応力より糸温度を求め, 昇温に影響する要因との関係を基礎的に検討した.結果 1.走行糸の応力が温度に依存して変化する現象を利用して, 糸の到達温度を応力より推定し得ることを見出し, PET糸を用いて昇温挙動を観察し得た.2.無撚糸の昇温速度は, 有撚糸に比べてかなり早い.これはフィラメントがヒータ上で2~3層の重なりに分散されるためと思われた.3.有撚糸の昇温速度は, 撚数の増加によって低下するが, これは主に撚縮みによる見かけのデニール増加のためとして整理された.4.ヒータ温度の高い程, 熱伝達率も増大する傾向が見られた.5.通常走行糸の熱伝達率を用いて計算した回転走行糸の昇温速度は, 通常走行糸のそれより若干早い.6.仮撚加工時の見かけの熱伝達率は, ヒータ上の燃数が増加する勾配に従って増大する.しかしこの傾向は弱いので実用上, 飽和加撚糸の熱伝達率で近似し得る.7.同一の平均糸温度に達するよう, 異なった条件で熱処理された糸の物性は, 相互によく一致した.

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