トランスパーソナル心理学/精神医学
Online ISSN : 2434-463X
Print ISSN : 1345-4501
「全体的霊的平和(ホリスティック・スピリチュアル・ピース)」概念の提唱
松本 孚
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2016 年 15 巻 1 号 p. 23-42

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抄録

「平和」という概念は、「戦争のない状態」という定義 から始まり、次第にその内容が変化し、例えば、「暴力 のない状態」にまでその範囲が広がってきている。そ こで今回は、①先ず、これまでの平和概念の変遷を概 観し、②その中で比較的新しく、やや意味が曖昧な「霊 的平和」という概念の平和への有効性について検討し、 次に、③平和にとって有意義な「霊性」の定義と、そ の定義に基づく新しい平和目標としての「全体的霊的 平和」という概念を考察し定義することを研究目的と した。その結果、「全体的霊的平和」とは、「霊性が持 つ万物に宿る四つの性質や力(①多様でかけがえのな いものを生み出す「多様性」、②多様な境界を越えてい く「超越性」、③境界を超え一つにつながる「一体性」、 ④それらをよい方向に向かわせる「調和性」)によって 創造される社会の状態やプロセス(対人関係、集団、 組織、コミュニティ、国、民族、環境などを含む)に 焦点を当てた大いなる何かである。」と定義された。

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© 2016 日本トランスパーソナル心理学・精神医学会
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