抄録
本研究の目的は, 新型コロナウィルス恐怖と大学適応感の関連におけるスピリチュアリティの媒介効果を検討することであった。適応感の指標として大学生用適応感尺度(大久保・青柳, 2003)の「課題・目的の存在」, スピリチュアリティの指標としてBig Question尺度(村上, 2012)の「人生の意味の希求」に着目した。調査は2021年5月下旬にオンライン上で実施された。自己評定式の質問紙に回答した教養科目の受講生のうち, 最終的に252名(平均年齢 = 19.23歳, SD = 1.24; 男性102名, 女性147名, その他・不明3名)を分析対象とした。媒介分析の結果, スピリチュアリティは, 新型コロナウィルス恐怖と大学適応感の関連を部分的に媒介していた(indirect effect = 0.040, p = .032, 95% CI [0.008,0.091])。最後に, 本研究の限界と今後の展望が議論された。