ばね論文集
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金属浸透被膜によるばねの耐腐食性能の向上
小曽根 敏夫加藤 英明岩田 守正
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1984 年 1984 巻 29 号 p. 58-62

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抄録

懸架ばねの腐食に起因する疲労は, 実際の場において比較的早期に剥離してしまう塗膜によっては十分に防ぐことができない。 塗膜に代るものとして, 金属の拡散浸透処理による強固な被膜をばね鋼表面に形成させ, 今回主にその耐腐食性能について調べた。 拡散浸透被膜は, 熱処理前のばね鋼に溶射被覆を行なった後, そのままの状態でオーステナイト域まで加熱する過程で短時間に形成される。 今回, 溶射材料としてAl及びNi-Alを用いた。
このようにして得た拡散浸透被膜の厚さは約50μmで, いずれの場合も金属間化合物となっており, その硬さもAlの場合でHV 550, Ni-Alの場合でHV 600と高く, さらに腐食に対しても僅かに膜厚を減じる程度でピットを形成しないことがわかった。 さらに, 浸透被膜が50μm程度の場合には, 熱処理後のショットピーニングの効果をそのまま維持し, 疲れ特性を阻害しないことも明らかになった。

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