樹木医学研究
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論文
2004年台風15号による塩風害が秋田県の樹木に与えた影響 : 樹種,地域による変動及び海岸マツ林の防風効果
三田 瞬一星崎 和彦佐々木 佳明金田 吉弘和田 覚蒔田 明史小林 一三
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2009 年 13 巻 3 号 p. 125-138

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抄録
2004年8月20日に秋田県沖を通過した台風15号は,秋田県内の農作物に甚大な被害を与えた.本研究では,この台風による樹木への塩風害の実態を翌年の樹木の生育状況をもとに記載し,海岸マツ林の防風・防潮機能が健全なマツ林とマツ枯れ被害を受けた林分でどの程度異なるかを検討した.秋田県内各地の塩風害の強度分布調査から,強風が直接日本海から吹き込んだ男鹿半島以南で,海岸線より約10 km内陸まで被害が顕著であった.被害の主な形態は梢端・枝枯れや翌年の展葉量の減少であった.同一環境に植栽された樹木13種の比較では,被害はコナラ,クリ,ニシキギで大きく,クロマツ,スギで軽かった.さらに,建物の風下やマツ枯れ被害のほとんどない健全な海岸マツ林では,開けた場所やマツ枯れ激害林分と比べて,林内広葉樹の被害は軽微であり,マツ林の健全性が,塩風害抑制にとって重要であることが確認された.
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© 2009 樹木医学会
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