樹木医学研究
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沖縄県内に植栽されたマングローブ樹種5種における葉の浸透調整物質蓄積の季節変動
沖田 総一郎野口 よしの谷口 真吾山本 福壽山中 典和岩永 史子
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2019 年 23 巻 2 号 p. 83-92

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抄録

沖縄県うるま市に植栽されたメヒルギ,オヒルギ,ヤエヤマヒルギ,ヒルギダマシ,ヒルギモドキの成木の葉中浸透調整物質の蓄積とその季節変動について調査を行い,樹種による違いと季節変動にかかわる要因について考察した.葉の陽イオン含有量は,樹種ごとに持っている耐塩性機構の違いによって異なり,特にNa+:K+比の違いが顕著であった.外洋の塩分と葉の陽イオン含有量には採取月による違いはほとんど認められなかった.全可溶性糖含有量と全糖アルコール含有量は季節変動が認められた.全可溶性糖含有量については5種すべてで冬期に含有量が高く,平均気温の影響が認められた.全糖アルコール含有量の季節変動には樹種による違いが大きく,関与する要因も種によって異なると考えられた.浸透調整物質含有量の季節変動と葉内陽イオンの変動は強く関与せず,平均気温などの環境要因の影響が強く認められた.

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© 2019 樹木医学会
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