樹木医学研究
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短報
ソテツに加害するカイガラムシAulacaspis yasumatsuiの沖縄島への侵入実態とその薬剤防除上の課題
辻本 悟志亀山 統一久保 駿太郎山城 勝高山 新吾吉元 充川口 エリ子坂巻 祥孝
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2024 年 28 巻 3 号 p. 147-151

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抄録

ソテツに加害するカイガラムシAulacaspis yasumatsuiが沖縄島で初めて確認された.これは,奄美大島に次いで国内2例目である.沖縄島では北部の2か所に局在して被害が出ていた.聞き取り調査から,被害は2020〜2021年頃に発生したと思われる.被害発生が局所に限定されていること,また,港湾など物流・人流の中心地近くに被害がないことは,奄美大島での被害の状況と異なっていた.本種の激害木に対して樹木類・カイガラムシ類及び樹木類・カイガラムシ類幼虫で登録されている既往の薬剤を散布したところ,散布後2か月間に展開した新葉への加害や薬害は,いずれの供試木でも確認されなかった.しかし,薬剤散布や被害葉の摘葉などの処理は人的コストが大きく,省力的な防除方法の開発が防除上の課題と考えられた.

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