抄録
半島マレーシアのパソー森林保護区に設置した林冠回廊を用いてDipterocarpus sublamellatus, Neobalanocarpus heimii, Ptychopyxi caput-medusaeとXanthophyllum amoneumの地上30mから40mの林冠構成葉の光合成速度と気孔コンダクタンスの日変化を1993年7月の2日間と11月に測定した。光合成速度の日変化は測定した日と樹種によって異なっていたが,いずれの樹種の光合成速度も類似の値を示し低かった。概して,光合成速度は午前中,放射量の上昇にともなって増加したが,その後は減少した。また,光合成速度と気孔ンダクタンスの間には直線関係が見られたが,7月と11月の測定結果からは,D. sublamellatusとP. caputmedusaeとでは両者の間には有為な直線関係ほ見られなかった。さらに,水蒸気胞差が増大するに伴いD. sublamellatusの気孔コンダクタンスは減少したが,このような関係は他の種では見られなかった。