アジアと太平洋における主なサトイモ科栽培植物は,インドクワズイモAlocasia macrorrhizos, インドオオコンニャクAmorphophalls paeoniifolius, サトイモColocasia esculenta とキルトスペルマCrytosperma merkusii である。これらのサトイモ科植物は,オーストロネシア諸語の話者によってひろく栽培されてきた。この概説において,筆者はサトイモ科植物の馴化と伝播を理解するための理論的なわく組みを展開した。特に,それらの中で最も重要なサトイモについて熱帯の野生型と思われる系統(ミズイモ Colocasia esculenta var. aquatilis) について記述し,栽培サトイモと比較した。