Tropics
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原著論文
インドネシア, アナククラカタウ島におけるナンゴクワセオバナーモクマオウ植生の10年間の遷移
鈴木 英治Thkirin PARTOMIHARDJOEdhi TURMUDI
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1995 年 4 巻 2+3 号 p. 127-131

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抄録
アナククラカタウ島の火山植生の一次選移を, 1982 年と1992 年に調査した。同島はスンダ海峡にあるクラカタウ諸島の一つで, 1930 年の噴火で洋上に出現して以来何回もの噴火を繰り返し成長してきた。1982 年に海岸部分で15.2本/m2 の高密度になっていたナンゴクワセオバナ群落は,十年後も同じ状態を維持していた。その密生群落より内陸側の平坦部では, 1982年にナンゴクワセオバナが0.6本/m2の密度で疎生し,胸高断面積合計がわずか0.041 m2/haのモクマオウ幼木が混生していた。それは1992年に最高樹高が20m を越し胸高断面積合計が6.8m2/ha のモクマオウ林になっていた。火口に登る斜面では, 1982 年にナンゴクワセオバナが上部ほど密度が低下しながら標高100 m まで分布していた。1992年には全体に密度が上昇し,標高136m のカルデラの縁を越してカルデラ内部まで分布を拡大していた。
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© 1995 日本熱帯生態学会
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