抄録
最近,森林破壊の拡大による地球環境の悪化が大きな社会問題となっている。タイ園においても,年間2~4% の割合で森林破壊が進んでいるとの報告がある(FAO/UNEP, 1981) 。しかしながら,これら森林破壊が地球環境にどの様な影響を及ぼしているのかについての研究は少ない。そこでこれら森林破壊が環境に及ぼす影響についての基礎データを得るために,タイ国ナラチワの熱帯湿地林,および湿地林の開発によって造成された水田,また開発を試みたが,失敗し現在放置されている荒廃地(二次林)において,各種生態系における環境特性についての調査研究を行った。その結果,熱帯湿地林の破壊による影響は,特に乾期に顕著に現れ,二次林および水田(乾期では草地)では乾期において顕熱フラックスが増加し,また二酸化炭素の取り込みが減少することが明らかになった。また本研究で開発した渦累積法はメタン等の微量ガスフラックス測定において,非常に有効な測定方法であることが明らかになった。