2011 年 40 巻 p. 35-42
今日の農業・農村をとりまく状況は厳しさを増している.本報告は,自らの農業の維持のために,水田単作の従来型農業からの脱却を目ざす農業経営の改革の事例を取り上げる.
北海道夕張郡長沼町は水田の生産調整面積が5割を超え,農業経営の改革が余儀なくされている.JN区は畑作,酪農,直売所,グリーン・ツーリズム,観光農業等の多様な経営を展開させ,それにともない社会関係は変化する.しかしそうした変容する社会関係に対して,人々は将来の生活の展望を見据えて,村落内社会関係を組み替えながらも区のまとまりを維持しようとしている.北海道においても,村落は居住集団として大きな役割をもっている.