社会学年報
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論文
途上国都市化論における東南アジア
大井 慈郎
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2014 年 43 巻 p. 83-94

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抄録
 本稿は,新国際分業と世界都市システムのなかでの,東南アジア都市の位置づけを明らかにするものである.今日,世界的な都市人口の増加とともに巨大な都市圏が形成されるなか,都市研究では,その構造的説明を目的とした議論が行われている.こうした議論では,とりわけアジア諸国を対象に論じられているが,なぜ他の途上国地域ではなくアジア(なかでも東南アジアと中国)が議題となるのか,という問題に立ち入っていない.そこで本稿は,先進国・途上国の現在の都市化・都市圏形成の議論,および各途上国の発展戦略に関する議論を横断的に分析し,東南アジア都市の位置づけを明確化した.その結果,他の途上国地域と異なり,工業製品輸出国という地位を獲得した基盤には,日本の近隣国であったという地政学的要因,それと関連するプラザ合意による通貨安と規制緩和といった世界経済的要因と,国内労働力の管理の容易さといった労働環境的要因とあわせて,人口分布とその土台となる工業化以前の農業経済システム的要因があったことを指摘した.
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© 2014 東北社会学会
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