抄録
近年,深宇宙探査への必要性から電気推進に関する研究が精力的に行われている.その中で我々は新しい電気推進技術として,パルスイオンビームにより生成されたアブレーション圧力を推進力として用いる宇宙用推進を提案した.ターゲットとして薄膜状のアルミニウムにパルスイオンビームを照射すると,生成されたアブレーション圧力によりターゲットが高速に飛翔する.この時の推進性能を一次元数値解析から見積りを行った.その結果,エネルギー密度が4000 J/cm2,パルス幅60 nsのパルスイオンビームにおいて,インパルスビット2000 Ns/m2,比推力6000 sの性能が得られ,この数値解析結果は実験結果と良く一致していた.また,イオンビームの加速電圧,エネルギー密度,ビームパワー,パルス幅により推進性能を制御することができた.さらに,加速電圧とパルス幅の制御は推進性能の改善に大きく寄与することがわかった.