分割されたリフレクタ面において異方張力を受ける長方形膜要素の鏡面精度を調べた.長方形膜要素はリフレクタ面の任意の位置に, 表面の主曲率方向に対して任意の角度αで配置されているものとし,境界一致膜と境界一致最適膜の2種の膜面を検討対象とした.境界一致膜はその境界が,膜面の配置されている点における近似放物面に一致する膜要素であり,境界一致最適膜は,鏡面誤差が最小になるよう境界一致膜を近似放物面に垂直方向に平行移動して得られる膜要素である.これらの膜面の変位および鏡面誤差を線形膜面方程式の解析解に基づいて計算した結果,以下が明らかになった.一定のパラメータ範囲において,各辺に適切な張力比を与えることにより,一様な張力比を与えた場合に比べて鏡面誤差を小さくできる.膜要素が細長い形状の場合には,長辺に加わる張力を大きく,短辺に加わる張力を小さくすることにより,鏡面誤差を小さくできる.また,膜面が細長いほど,鏡面誤差は小さくなる.膜の長辺が表面の主曲率に平行に配置され,かつ長辺により大きな張力が加わるとき,鏡面誤差が最小な膜面が得られる.最適境界一致膜と境界一致膜の鏡面誤差の比は約0.4-0.5であり,λ/κ(λ:アスペクト比,κ:張力比パラメータ)のみに依存する.
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