TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, SPACE TECHNOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1347-3840
ISSN-L : 1347-3840
3 巻
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  • 矢澤 勝, Chainarong Buttapeng, 原田 信弘, 末松 久幸, Weihua Jiang, 八井 浄
    原稿種別: 論文
    専門分野: 原動機・推進
    2005 年 3 巻 p. 1-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/05
    ジャーナル フリー
    近年,深宇宙探査への必要性から電気推進に関する研究が精力的に行われている.その中で我々は新しい電気推進技術として,パルスイオンビームにより生成されたアブレーション圧力を推進力として用いる宇宙用推進を提案した.ターゲットとして薄膜状のアルミニウムにパルスイオンビームを照射すると,生成されたアブレーション圧力によりターゲットが高速に飛翔する.この時の推進性能を一次元数値解析から見積りを行った.その結果,エネルギー密度が4000 J/cm2,パルス幅60 nsのパルスイオンビームにおいて,インパルスビット2000 Ns/m2,比推力6000 sの性能が得られ,この数値解析結果は実験結果と良く一致していた.また,イオンビームの加速電圧,エネルギー密度,ビームパワー,パルス幅により推進性能を制御することができた.さらに,加速電圧とパルス幅の制御は推進性能の改善に大きく寄与することがわかった.
  • 小紫 公也, 中川 樹生, 大村 俊介, 荒川 義博
    原稿種別: 論文
    専門分野: その他
    2005 年 3 巻 p. 7-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/05/26
    ジャーナル フリー
    電子付録
    宇宙で想定される無線エネルギー伝送に関して,レーザー位相同期アレイを用いた場合の伝送性能の評価を行った.特にレーザー推進機などの移動体への伝送を考え,受信面のサイズを抑えるために,メインローブに限ったエネルギー伝送を提案し,そのビーム品質(拡がり)と伝送効率を定義・導入した.数値計算の結果,ビーム品質はレーザー要素数や間隔,線幅には依らず常にπ/2であるが,伝送効率はレーザー開口部充填率の低下に伴って低下することが示された.また,アレイの製作時の位相誤差,方向誤差,強度誤差について影響を調べた結果,位相誤差が最も影響が大きく,誤差を数%以下に収める必要があることがわかった.最後に,エネルギー伝送性能は本質的にレーザーの要素数には依らないことがわかったので,例として2Wのレーザーをアレイ化して40,000kmの伝送をするシステムの提案を行った.
  • 静止軌道付近を通過する軌道の光学探索法
    梅原 広明, 高橋 正昭, 大坪 俊通, 久保岡 俊宏
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙航行
    2005 年 3 巻 p. 13-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/08/19
    ジャーナル フリー
    衛星通信等の発展にともない,静止衛星の数や利用度は増え続けている.静止軌道上で安全な運用を行うには,静止軌道のみならずその付近を運動する多数の衛星や漂流物体の軌道を正確に把握することが不可欠である.光学観測は,人工衛星からの受信電波を観測する方法より,周波数の不明な衛星,さらに周波数を発しない物体をも検出することができる長所を備えている.そのため,日本を含めた様々な国で光学観測施設が建設され観測が始められている.しかし,たとえ観測施設を増やしたところで観測領域は広大である.したがって,広域的・体系的・効率的な観測方法の構築が必要不可欠となっている.本論では,観測地から見える静止軌道を覆うように撮像領域を重ねるスキャン観測を基本にして,検出した多数の物体軌道を効率的に決定することができる観測手順を既定した.まず,静止軌道上の二点を交互に見続けるようなスキャンを二晩かけて行う.これによって,検出された物体それぞれの離心率ベクトル以外の軌道要素が概算される.軌道傾斜角がスキャンの視野角より大きな物体に対しては,追跡観測が必要ではあるが,既に他の軌道要素がほぼ正確に求められているため,各物体に対する追跡観測を単純・迅速に行うことができる.すなわち,多数の物体の軌道要素を二晩のスキャンと一晩の追跡観測から決定することができる.しかも,南北方向の運動がスキャンの視野角より10倍以上大きな物体をも軌道決定を行うことができる.情報通信研究機構鹿島宇宙通信研究センターにおける光学望遠鏡を用いて観測手順が十分に機能することを示したが,様々な性能の光学観測機器で観測することができるよう,観測手順は性能変数による文字式で表現されている.
  • 加藤 純郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: 構造
    2005 年 3 巻 p. 23-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/27
    ジャーナル フリー
    分割されたリフレクタ面において異方張力を受ける長方形膜要素の鏡面精度を調べた.長方形膜要素はリフレクタ面の任意の位置に, 表面の主曲率方向に対して任意の角度αで配置されているものとし,境界一致膜と境界一致最適膜の2種の膜面を検討対象とした.境界一致膜はその境界が,膜面の配置されている点における近似放物面に一致する膜要素であり,境界一致最適膜は,鏡面誤差が最小になるよう境界一致膜を近似放物面に垂直方向に平行移動して得られる膜要素である.これらの膜面の変位および鏡面誤差を線形膜面方程式の解析解に基づいて計算した結果,以下が明らかになった.一定のパラメータ範囲において,各辺に適切な張力比を与えることにより,一様な張力比を与えた場合に比べて鏡面誤差を小さくできる.膜要素が細長い形状の場合には,長辺に加わる張力を大きく,短辺に加わる張力を小さくすることにより,鏡面誤差を小さくできる.また,膜面が細長いほど,鏡面誤差は小さくなる.膜の長辺が表面の主曲率に平行に配置され,かつ長辺により大きな張力が加わるとき,鏡面誤差が最小な膜面が得られる.最適境界一致膜と境界一致膜の鏡面誤差の比は約0.4-0.5であり,λ/κ(λ:アスペクト比,κ:張力比パラメータ)のみに依存する.
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