芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
研究論文
ベントグリーンにおけるアントシアニン斑形成要因の解析とその軽減策 第2報 アントシアニンの同定と簡易な手法による定量
山路 博之縣 和一武内 康博山口 雅篤宮島 郁夫
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 40 巻 1 号 p. 12-17

詳細
抄録

本報告では, ベントグラスの紫斑系統に含まれるアントシアニンの同定と簡易な定量法を確立した。
1) 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による分析から, ベントグラスの葉で2種類のアントシアニンが同定された。それら色素は, シアニジン3-マロニルグルコシド, シアニジン3-グルコシドであった。
2) ベントグラスの葉中アントシアニンを抽出する最適な溶媒は, 3%塩酸水溶液であった。
3) ベントグラス葉中アントシアニンの簡易定量分析法を確立した。すなわち, 生葉0.2gを細断し, 20mlの3%塩酸水溶液を加えてホモジナイズしたのち, 冷暗所で24時間抽出した。抽出液をろ過したのち一定量に稀釈して530nmでの吸光度を測定した。
4) 本研究で確立したアントシアニンの簡易定量分析法により, 紫斑系統と非紫斑系統グリーンにおけるアントシアニン量の季節変化を調査した。その結果, 紫斑系統のアントシアニン量は春から夏に向かって低下し, 晩秋から冬季に高まる季節変化を示した。非紫斑系統も同傾向の季節変化を示したが, 変動値は小さく, アントシアニン量は紫斑系統の春から初秋の含量水準に近いものであった。

著者関連情報
© 2011 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top