芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
研究論文
Pb汚染土壌におけるファイトレメディエーション技術の適用可能性に関する研究
涌井 史郎浅井 俊光渡邉 洋輔堀川 朗彦山崎 正代飯島 健太郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 48 巻 1 号 p. 17-24

詳細
抄録
栽培・植栽管理手法が確立しているアカザ, メンカ, トールフェスキュー, クリーピングレッドフェスキュー, ケンタッキーブルーグラスおよびバミューダグラスを供試植物として, Pb模擬汚染土壌中のファイトレメディエーションを試みた。
その結果, アカザとメンカは短期栽培よりも長期栽培において, 植物体中Pb濃度は高まり, メンカでその傾向が大であった。一方, Pb耐性については, 統計的に有意差は認められなかったものの, メンカ, 洋芝では目視によって生育の減退が認められたのに対して, アカザでは生育被害が認められず, 高Pb濃度の実験区においても乾燥重量も大きいことから, 1ポットあたりのPb除去量はアカザが最も大となった。各種洋芝については, トールフェスキュー, クリーピングレッドフェスキューおよびケンタッキーブルーグラスの方が, バミューダグラスよりも茎葉部のPb濃度が高い結果となった。さらに, 各種洋芝は総じて, 他の供試植物よりも植物体が小さいが, 根部のPb濃度が高かったため, 茎葉部と根部を全て合せ, 1ポットあたりのPb除去量としてみると, 植物体の大きなアカザと同等のPb除去量が得られることが明らかとなった。
また, フィールドにおいて現実的な除去年数とするためには, 植栽期間や植物体の大きさなど異なる形質をもつ植物を混植することや土壌中Pbの安全で効率的な可溶化が必須となることが示唆された。
著者関連情報
© 2019 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top