新設2年目のゴルフ場において1991〜2002年まで, コガネムシ類の動態調査としてフェロモントラップによる成虫捕獲を行った。設置したトラップはフェロモン8種, 芳香族複合物1種, 延べ413器で, 得られた結果は次の通りであった。
1. 捕獲は12種で1996年以降は新たな捕獲種は無く, 調査開始から5年で固定された。
2. 捕獲合計1,733,137頭で, 最少がドウガネブイブイ (211頭), 最多がセマダラコガネ (1,603,546頭) で, 新設草地における特定種の異常繁殖を認めた。
3. 最多捕獲年は全種が1992〜2001年の間に発生した。全体の最多捕獲年は1999年で2002年には91.5%が減少し, 新設草地における異常繁殖期の終息を示唆した。
4. 月次の捕獲期間は, 全体が4月1半旬〜10月5半旬までの41半旬で, 種別では10半旬〜39半旬であった。最多捕獲期は高温期に少ない傾向を示した。
5. 捕獲平均気温は17.5〜24.8℃の間で, 最低がウスチャコガネ, キスジコガネの17.5℃, 最高がヒメコガネの24.8℃であった。8月の高温期を越える種の気温の幅は広かった。
6. フェロモン8種の内, 対象種の捕獲率が高かったのは3種であった。芳香族複合物を使ったトラップは多種の捕獲に優れていた。
7. 新設草地におけるコガネムシ類の繁殖力は旺盛で, 芝草を被害する幼虫に対する薬剤効果は低く, 減少は自然淘汰を待つ結果となった。
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