芝草研究
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芝草を加害する半翅目の害虫に関する研究III
芝草の侵入害虫Rhodesgrass scalesの生態と防除
吉田 正義廿日出 正美赤堀 伸
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1981 年 10 巻 1 号 p. 63-72

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抄録
芝草の侵入害虫Rhodesgrass scale (Antonina graminis MASKELL) の防除の目的をもって, 東海地方における生態と発生経過について調査した。
(1) この虫はアフリカ, オーストラリア, 米国南部など亜熱帯地方に生息しているもので, わが国では沖縄県に限って生息していたものである。近年, 芝草を輸入したとき, これに付着して侵入したことが考察される。
(2) この虫は芝草の直立枝の基部やランナーの節に付着し, 汁液を吸害する。被害を受けた芝草は乾害を受けたように褐変し, 枯死する。特に排水がよく, 日当りのよい乾燥した芝草地では被害は顕著である。この虫による被害がめだち始めるのは8月下旬以降である。
(3) この虫は単性生殖を営み, 卵胎生で増殖する。雌虫の体内の胚子は乳白色をしただ円体で, その長さは0.45mmであった。1令虫は殻をかぶっておらず, 3対の脚で活発に移動するので, 他の令の個体と容易に区別できる。体長は0.56mmであった。
(4) 2令虫以後は暗紫色の袋状の形態をし, 尾部から白色の排泄管を体外に出し, 腹面から口吻を植物体に刺し込んで付着する。
3対の脚は退化し, 運動性はなくなり芝草に固着する。体表から白色のろう物質を排出し, 殻を形成する。
1, 2, 3令虫および成虫の体長はそれぞれ0.40~0.90mm, 0.6~1.2mm, 1.3~1.9mmおよび2.0~4.0mmであった。
(5) 温度が高くなるにつれて, 仔虫の産出の速度は速くなる。産仔虫数は30℃および26℃ではそれぞれ200頭, 139頭で相違がみられる。この虫が仔虫を産出するには25℃以上の気温が必要とするのではなかろうか。
(6) 1令虫の発生する時期は1化期では6月上旬~7月中旬, 2化期では8月上旬~9月中旬であった。ガラス室で飼育したものに限り僅少ではあったが3化期の仔虫が発生した。自然状態ではこの虫は年2回発生するものと考えられる。
(7) 東海地方ではこの虫を防除するために, 1令虫の発生する6月上旬と8月上旬にDMTP乳剤の1000倍液を散布することにより, よい効果をあげている。
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