芝草研究
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刈込み条件の違いによるCreeping Bentgrassの形質変化について
大部 善之三沢 彰稲葉 孝己
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1983 年 12 巻 1 号 p. 59-65

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抄録
刈込みは芝生を良好に保つための極めて重要な手段であるが, 刈込みは芝草の茎葉の一部を取り除くことによってその生育上の障害となる。従って, 高温多湿の気候条件下で生育不良期にある寒地型芝草に対する刈込みはその生育に対し大きな衝撃となる。
そこで, 夏季間のクリーピング・ベントグラスの形質変化に対する刈込みの高さおよび刈込間隔の影響を把握するため本実験を行なった。
実験区は, 刈込みの高さによって6, 12, 24mmの3水準に分け, さらに各水準区毎に刈込間隔によって3~4日, 7日, 14日の3処理区を設け, これに対照区を加えて合計10処理区とした。
実験結果を要約すると以下のとおりである。
1) 茎密度, 1shoot当りの地上部重と地下部重は刈高の高さによって影響を受け, 刈高が高くなるほど茎密度は低い値を示し, 逆に1shoot当りの地上部重と地下部重は高い値を示した。C/F比と分けつ数では刈高6mm区が刈高12, 24mm区よりも全体的に高い値を示したが, 一茎当たりの葉数では刈高6mm区が他の刈高区よりも低い値を示す傾向があった。また, T/R比は刈高の相違による明確な影響を受けなかった。
2) 1shoot当りの地上部重と刈高との間に高い相関関係がみられ, そして, 1shoot当たりの地上部重と茎密度との間にも高い相関関係がみられた。
3) 刈込3~4日間隔区において茎密度が刈込7, 14日間隔区よりも低い傾向を示した。しかし, 茎密度以外の測定項目に対する刈込間隔の影響はみられなかった。
以上の結果より, 特に刈高が芝草の生育に大きな影響をおよぼす要因であることが確認できた。
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© 日本芝草学会
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