芝草研究
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コウライシバ芝生地における刈込み条件の違いが雑草の季節的消長におよぼす影響について
輿水 肇藤原 亮三宮原 弘樹大久保 雅弘
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1984 年 13 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

芝生地の雑草の発生態様が刈込みによってどのように変化するかを調べた。雑草防除は薬剤散布による方法が主流であるが, 公園芝生のように雑草の混在がある程度許容されるところでは, 刈込みによる雑草の制御が期待されるからである。
1.神奈川県川崎市の西部台地上に位置する, 明治大学生田キャンパス内の, 造成後12年経過したコウライシバ芝生地を利用した。18m×9mの方形の試験地を設定し, 刈込み条件を変えて, 雑草の優占する群落の面積変化と出現種を, 5月から1か月毎に調べた。
2.刈高は2.5cmと5.5cm, 刈込み間隔は1週, 2週, 4週間に各1回の3水準とし, 計6通りの試験区を設けた。全体を2分割し, 粒状化成肥料 (5-5-5) を179g/m2与える多肥区とその1/3の少肥区を設けた。11月にホールカッターで採取した試料について, シバの直立茎, ほふく茎, 根の部分に分けて長さと重量を求めた。
3.刈込み頻度の高い区, 多肥区の方が直立茎の割合が多くなったが, 根部には差がなかった。刈高が5.5cmと高く, 刈込み頻度の高い区, 多肥区でいずれも直立茎と根の単位長さ当りの重量が増加した。
4.シバ地の面積は8月に最小となり, 10月に最高となった。しかし週1回刈込み区はシバ地の面積が漸増し, 2週1回刈込み区は夏期のシバ地の減少はあるが, 秋には回復し, 4週1回刈込み区では雑草地の方が増加し, 特に5.5cmの刈高では雑草によって占められた。
5.刈込みによる雑草の生活型スペクトルをみると, 低い刈込みではほふく型が減少し, 高刈ではこれが少なくならない。刈込み頻度は影響がなかった。ロゼット型は2.5cmの刈高で週1回の刈込みではほぼ一定の割合をしめ, それ以外ではいずれも増加した。

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