芝草研究
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シバ類種子の発芽性に関する研究
北村 文雄
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1984 年 13 巻 2 号 p. 109-116

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抄録

シバ類種子の発芽性は野生植物の特徴を残しており, その個体変異も大きい。そこで野生植物の備えている種子発芽における長期散発型の有無, 種子寿命などを明らかにすることを目的として, 本研究を行った。研究成果を次に挙げる。
イ) 乾燥貯蔵したシバ類種子の寿命は長く, 16年を経ても充分に発芽能力を有している。その発芽率の経年変化をみると, 初期低く, 2年目に急上昇し, 3年目以降はゆるやかに上昇を続け, 7~10年目に最高を示し, その値は50%を超える。以後は下降の傾向をみせ, 明らかに長期散発型の発芽性を示す。種子の発芽開始日の経年変化ははっきりしないが, おおむね同様の傾向を示している。
ロ) 種了の発芽処理については, 物理的方法の効果はあまり認められず, 化学的方法に有効なものが見出される。
ハ) 種子の貯蔵方法は乾燥貯蔵が好結果を示している。また, 稔実種子を選ぶアルコール処理による種子発芽への悪影響はみられなかった。
ニ) 種子は浸水すると3~4日で吸水を終了する。また貯蔵種子は, 乾燥貯蔵により重量は90~95%に減じ, 室内放置のものは100~104%, 冷蔵貯蔵では次年度までは98~100%, その後100%を超え, これらの値と種子寿命との関連性が考えられる。

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