抄録
Zoysia属のノシバ, コウライシバは短日植物であるとされているが, 我国では一般にヒメコウライシバは秋と春の2回, ノシバ及びコウライシバは春に開花がみられる。春に開花する種についてその花芽の分化時期を明らかにするためにこの研究を行った。
ターフとして栽培管理されているノシバ及びコウライシバのコアーを1983年10月12日から同年12月12日まで10日毎に採取し, 人工気象室 (16時間日長, 25±1.5℃) に移して通常の管理下におき, 出穂状況を調査した。ヒメコウライシバはすでに10月12日には自然状態で出穂がみられたので, この実験からは除外した。
又同期間ターフの直立茎を採取して頂芽を固定し, ミクロテクニックによる組織学的検索を行った。
以上の2つの実験から, ヒメコウライシバは晩夏から, 又春に開花するノシバ及びコウライシバでも秋に花芽分化が行われていることが明らかにされた。日長に対する感応性の差によって早く花芽分化するヒメコウライシバはその年の秋に, 又比較的遅いノシバ及びコウライシバは低温によって花芽生長が抑制されるために翌春開花するものと思われた。