芝草研究
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長日条件下のコウライシバの開花に対する光及び窒素の影響
中前 博子中村 直彦
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1984 年 13 巻 2 号 p. 123-126

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抄録
コウライシバは短日植物であり, 秋に花芽分化が行われ翌春開花するが, 花芽分化を誘導する内的要因の1つとされているC/N率がコウライシバの場合にも適合するかどうかを明らかにするために本実験を行った。1982年11月17日に圃場に栽培されているコウライシバから直立茎を採取し, 2×10-3倍に希釈したWhite培養液を入れたフラスコで連続照明下で培養した。その後もとの直立茎はすべて枯死し側芽が伸長したので, これを材料とし, 徐々にWhite培養液の濃度を増し最終的にW/5とした。実験区は照度の高低と培養液中の窒素化合物の濃度の高低の組み合わせによって4区を設け, 出穂状況及び栄養生長状態を調査した。栄養生長は窒素量と正の相関々係を示した。出穂開花は低照度・低窒素区 (LL) にのみ観察され, ある程度栄養生長が抑制され, しかも適切な炭水化物の蓄積が行われることが花芽分化を起こさせる条件となることが示唆された。この事は短日植物であるコウライシバが, 連続照明下でもあるC/N率を維持すれば開花を起こさせ得る事を示すもので, 開花生理についての基礎的な知見を与えるものである。
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© 日本芝草学会
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