芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
本邦に発生したベントグラスのRed Threadについて
林 聴永田 浩美谷 利一
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 14 巻 2 号 p. 108-114

詳細
抄録
芦の湖カントリークラブに発生したred thread様病害の病斑部より病原菌を分離し, 種々の性質を調査した。芝生用植物の幼苗に対する接種試験ではペンクロスベントグラス, シーサイドベントグラス, イタリアンライグラス, ケンタッキー31フェスク, ウィーピングラブグラスに対して病原性を示し, ノシバ, センチピードグラス, バピアグラス, バーミューダーグラス, ペレニアルライグラスではほとんど発病しなかった。以上の結果はred threadの宿主範囲とほぼ一致した。ペンクロスベントグラスマットに対する接種試験によると, 本菌は地上部のみを侵し, 罹病葉上に紅色, 糸状の菌糸塊を形成する。また, 本菌はかすがい連結を形成しない。以上より, 本病は本邦未確認のred threadであると考えられ, 「赤葉腐病」 (病原菌Laetisaria fociformis (McAlp.) Burdsall) と命名したい。
病原性は10~25℃の範囲でみられ, PDA培地上での菌体発育および出芽胞子の発芽の温度条件とほぼ一致した。in vitroでの薬剤試験では, 本菌に対してTPNおよびベノミルが最も有効で, 10ppmで約90%の発育阻害を示した。
著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top