芝草研究
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各除草剤のベントグラスへの薬害試験 (第2報)
春季、異なる薬剤散布日による影響について
貴島 茂川添 永典
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1987 年 15 巻 2 号 p. 161-169

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抄録

ベントグラスに安全性が高いと考える6種類の発芽前処理型除草剤を使用し, 1982年3月2日, 3月10日3月19日, 4月1日に造成6.5年のペンクロス練習グリーンへ散布した。薬量は各薬剤共製品量で標準量と2倍量である。
(1) シデュロン水和剤1.8g/m2, 3.6g/m2, ベンスライド乳剤2.0cc/m2, 4.0cc/m2, エースフェノン乳剤2, 0cc/m2, 4.0cc/m2およびTCTP (DCPA) 水和剤2.0g/m2, 4.0g/m2は各散布日共薬害は認められなかった。
(2) MBPMC・MCP水和剤は各散布日共0.89/m2, 1.6g/m2の薬量で薬害は認められた。しかし, 4月1日散布では薬害の程度は微少であり回復も早く3月2日, 3月10日, 3月19日散布と異なる状態であった。
(3) ニトラリン水和剤は1.Og/m2で3月2日, 3月10日散布で微少の薬害が認められた。しかし, 3月19日4月1日散布では薬害が認められなく, 散布日によって薬害の程度が異なった, 薬量0.5g/m2では薬害は認められなかった。
ニトラリン水和剤のみ1981年2月24日, 3月3日, 3月17日, 3月30日, 4月7日散布した。
造成5.5年のペンクロスベントグラス練習グリーンである。
(4) ニトラリン水和剤0.5g/m2, 1.0g/m2共2月24日, 3月3日散布で薬害は認められた。しかし, 3月17日, 3月30日, 4月14日散布では薬害は認められなかった。
(5) ペンクロスベントグラスの根は2月下旬頃から伸長し, 根の長さと除草剤の薬害の関係が認められる除草剤はニトラリン水和剤, MBPMC・MCP水和剤と考える。
(6) ベントグラスグリーン周辺へ安全な発芽前処理型除草剤を使用することが大切だが, ベントグラス自身根が深くて充実した芝草に栽培しなくてはならない。
(7) また, 散布日を吟味することによってよりベントグラスに安全でかつ雑草防除の適期を各コース考えなくてはいけないと考える。

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