抄録
昆虫寄生性線虫Steinernema属はコガネムシ類幼虫に対して感染性を示さなかった。しかし, 石橋らがこの感染態幼虫 (J3) がオキサミルの低濃度区で活性化され, ヨトウムシ類の感染性を高めると報告した。この理論を応用して, 線虫と殺虫剤の混用によるコガネムシ幼虫に対する殺虫力を検討したところ, スミチオンやダイアジノン乳剤の1000倍, 5000倍区で高い相乗効果のあることが明らかとなった。その作用機構はコガネムシ幼虫が殺虫剤によって何らかの影響を受け, その後線虫が体内に侵入し, 感染性を高めるものと思われる。