抄録
NSK-850の芝生地への適用性を明らかにすることを目的に, ガラス室内ポット試験により土壌処理効果と各種芝草の生育に及ぼす影響を検定した。
その結果, NSK-850は芝生地の主要雑草であるスズメノカタビラ, エノコログサおよびメヒシバなどの多くの一年生イネ科雑草に対して3g/a相当量の薬量で極めて高い土壌処理効果を示した (Table3) 。また, これらのイネ科雑草に対する土壌処理効果は土壌水分の多い条件ほど高く (Fig.1) , 土壌水分が36.0%の宇都宮畑土壌では10l/aの水量で土壌に噴霧した場合に最も高かった (Fig.2) 。さらに各種芝草の生育に及ぼす影響を30g/a相当量の薬量を用いて検定した結果, 刈り込み後処理におけるNSK-850の薬害は, ベントグラスで若干認められたが, コウライシバおよびノシバでは全く認められなかった (Fig.3) 。また目土を粘土含量や有機物含量の少ない砂壌土で行った場合にコウライシバの根部に対する薬害が僅かに認められた (Fig.4) 。根部処理における薬害は刈り込み後処理や目土後処理における薬害よりも大きく, 特にベントグラスがNSK-850に対して高い感受性を示した (Fig.5) 。しかし, 同一薬量で比較すると各種芝草に対するNSK-850の薬害はシマジンの薬害よりも小さく, その薬害症状はシマジンの処理で観察される完全枯死あるいは葉先枯れと異なり草丈や根伸長の抑制であった。
以上の結果より, NSK-850はコウライシバおよびノシバに対して根部に直接処理した場合を除いて極めて安全であり, これらの芝生地における一年生イネ科雑草防除剤として高い適用性を有することが示唆された。