芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
芝草を加害するコガネムシ類の研究I
海岸に造成された芝草に発生するコガネムシの種類
吉田 正義梅村 孝志
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 2 巻 1 号 p. 19-25

詳細
抄録

ゴルフ場の芝草を加害するコガネムシの種類と被害場所を探索する方法を明らかにするため、予察灯を設置してコガネムシ類を採集するとともに、場内における成虫の食餌植物の調査、およびグリーンに昼間と夜間に飛来するコガネムシ類の採集を行なった。
(1) このゴルフ場の芝草を加害する最も重要なコガネムシはチビサクラコガネで、成虫は夜間活動性の昆虫であり、その発生の多いのは6月中旬から7月上旬の期間である。
この虫の分布は南部の砂土地帯に多く、9番グリーン東の芝山および15番グリーン東西のラフで、その異常発生の現象が確認された。
また、これらの生息環境では芝草以外の植物がまったくないことから、成虫も幼虫と同様に芝草を食害することが推察される。
(2) 成虫は日没直後 (午後7時頃) 芝草から地上に現われ、次第に密度を増加し暗闇の空中を飛翔した。飛翔の最も盛んな時刻は7時20分頃で8時頃まで続いた。8時頃を過ぎると、成虫は芝草の上に降りて交尾したり、雌雄集まって団子状にかたまり、40頭を越える集団になる場合があった。その後時間の経過とともに芝草の中に潜土した。
(3) 予察灯に最も多く飛来したのはヒメコガネで次はアカビロウドコガネ、ドウガネブイブイ、ヒメサクラコガネ、チビサクラコガネ、オオサカスジコガネ、ハンノヒメコガネ、コガネムシの順で、その他15種のコガネムシが採集された。マメコガネは誘殺することができなかった。
(4) コガネムシ類の成虫の食餌植物として16科29種の植物が発見され、マメコガネ、ヒメコガネ、ドウガネブイブイ、コフキコガネ、コガネムシ、ハンノヒメコガネ、ヒメサクラコガネの7種の加害が確認された。また、これらの幼虫は芝草の根を食害することが推察された。アカビロウドコガネ、チビサクラコガネ、オオサカスジコガネの加害をみることはできなかつた。
(5) 日中最も多く飛来したのはマメコガネで夜間はまったく採集されなかった。夜間飛来したのはチビサクラコガネとオオサカスジコガネで、日中の活動はまったくみられなかった。ドウガネとヒメコガネは日中飛来する個体もみられたが、夜間の活動がやや強い傾向がみられた。

著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top