芝草研究
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シマジンおよびペンディメタリンのコウライシバ (Zoysia matrella Merr) の茎葉への付着とその後の挙動
金 錫井米山 弘一竹内 安智小笠原 勝近内 誠登竹松 哲夫
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1992 年 20 巻 2 号 p. 157-164

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抄録
シマジンとペンディメタリンをコウライシバの萌芽前と生育期に散布した場合, これらの除草剤は芝草茎葉にかなり付着した。その付着量は草丈の高い条件, 散布水量の少ない条件, 展着剤を添加した条件および製剤形態が水和剤の場合に多いことが明らかになった。
葉面に付着したシマジンは降雨によって容易に落下せず, 葉面上に長期間保持された。一方, 葉面に付着したペンディメタリンは降雨により徐々に土壌に落下した。葉面上での光分解は少ないが, 日射が強く, 気温の高い場合は, 葉面に付着したペンディメタリンの一部は大気中に揮散するものと考えられた。
また, シマジンおよびペンディメタリンのいずれの除草剤においても, 一旦, 葉面に付着した薬剤の流亡 (落下) 量は, 茎葉の繁茂している10月処理よりも, 芝草萌芽前の4月処理で多い傾向であった。
以上の結果から, シマジンとペンディメタリンのコウライシバ茎葉への付着には, コウライシバの生育ステージ, 除草剤の製剤型と散布水量および散布後の降雨が大きな影響を及ぼすことが示され, 刈高を低くして, フロアブル剤を多めの水量で展着剤を添加せずに散布することにより, シマジンとペンディメタリンの葉面付着量を減少させることの可能性が示唆された。また, 薬剤散布後の早い時期に, 多量の散水を行うことによっても, 薬剤の葉面付着量を減少させることも可能と考えられる。
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