芝草研究
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ベントグラス (Agrostis palustris Huds.) とコウシュンシバ (Zoysia matrella Merr.) ターフの物質生産
2.高頻度低刈り栽培された両種の群落の光合成能力の比較
青木 則明縣 和一窪田 文武
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1993 年 22 巻 1 号 p. 5-12

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抄録
クリーピングベントグラス (Agrostis palustris Huds.; 以下ベントグラス) とコウシュンシバ (Zoysia matrella Merr.) を芝地条件下で栽培管理し, ターフからサンプリングしたコアを用いて光合成速度を測定した。測定には, 通気式同化箱法を用いた。ベントグラスでは, 1990年2月から8月, コウシュンシバについては5月から10月にかけて測定を行い, 両群落の光合成速度に対する気象要因および刈取り処理の影響について比較検討した。材料の栽培条件は, 前報と同じである。以下に結果を示す。
刈取りによるベントグラス群落の総光合成速度 (Pg) の低下率は, 地上部の乾物重 (DMW) やクロロフィル含量 (CCA) の減少率と同じであった。Pgの最大値とCCAおよび暗呼吸速度との間には, 有意な相関関係が認められ, 光合成速度を植物体の生長パラメーターで予測することが可能であった。
一方, 刈取りによるコウシュンシバ群落のPgの低下率は, CCAの減少率に比べて小さかった。コウシュンシバ群落では, 刈取り後も高い相対光利用効率を示したことから, 葉面積やクロロフィル含量は減少するが, 植物体は刈取り後も有利な受光態勢にあることが推察された。さらにコウシュンシバでは, DMWやCCAの季節変動が小さいことから, 生育期間を通して芝地の生産態勢は安定した状態にあるものと考えられる。
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